とむむの日々

埼玉県某市に住む「とむむ」の日記です。2008年3月から、関心のあることを書き連ねる日常の記録です。

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Parallels Desktop不要! M1 Mac(arm64)でDebian 11(bullseye)を無料で動かす方法

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どうも、とむむです。

Parallels Desktopを利用する前は、UTMを利用していた時期もあった。

とむむのM1 Mac(Mac mini)環境では、インストール&初回のブートまでは成功するのだが、2回目以降に起動しなくなることが多いため、実用にはほど遠かった。*1

最近リリースされたUTM v2.2.4で追加された新機能と変更点に可能性を感じたので、久々に試してみたのでこちらで紹介しておきたい。

UTM v2.2.4で何が変わったのか

リリースノートを確認

UTM v2.2.4のリリースノートは以下のリンク先を参照して頂きたい。

github.com

リリースノート中に、とむむが気になった新機能と変更点を取り上げていきたい。

新機能

とむむが注目した新機能は以下の2点だ。

(macOS 11.3+ Only) Bridged networking and shared networking support. You can configure it in the Network settings for your VM.
(macOS 11+ and iOS 13+) GPU acceleration for OpenGL on Linux. Use virtio-ramfb-gl or virtio-vga-gl display device and compatible Linux drivers (most modern Linux distros will have it already installed).

簡単に翻訳してみると、以下のような感じだ。

(macOS 11.3以降のみ)**ブリッジネットワーク**と共有ネットワークをサポート。VMのネットワーク設定で構成できます。
(macOS11以降、iOS13以降)Linux上でOpenGLのGPUアクセラレーションをサポート。virtio-ramfb-gl もしくはvirtio-vga-glのディスプレイデバイスや互換性のあるLinuxドライバを使用します。(最新のLinuxディストリビューションには、互換性のあるLinuxドライバはインストールされています)。

どちらも、Linuxを使いたい人には、ありがたい機能追加だろう。
特に2点目はLinuxデスクトップ環境での快適さが格段に向上する。*2

変更点

とむむが注目した新機能は以下の1点だ。

(macOS) Settings no longer crash when an error occurs while saving a new VM

簡単に翻訳してみると、以下のような感じだ。

(macOS)新しいVMの保存中にエラーが発生する時に、設定がクラッシュしなくなりました。

もしかして、冒頭で書いていた「インストール&初回のブートまでは成功するのだが、2回目以降に起動しなくなることが多い」が解消するのでは! と淡い期待をもって色々と試してみた。

UTM v2.2.4やDebian11のインストール

UTMのインストール

以下の手順でインストールしよう。

  1. 先程のリリースノートと同じページの下の方に、UTM.dmgがあるので、ダウンロードする。
  2. ダウンロードが完了したら、UTM.dmgをダブルクリックする。
  3. UTMのアイコンをアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップすれば完了だ。

Debian11のインストール

  1. まずは、以下からDebian11(arm64)のISOイメージ(debian-11.0.0-arm64-netinst.iso)をダウンロードしよう。 cdimage.debian.org
  2. UTMのアプリケーションを起動し、青枠をクリックしよう。 f:id:tomumu:20210914034312p:plain
  3. Informationはお好みで、分かりやすいNameやIconを設定しよう。 f:id:tomumu:20210914034424p:plain
  4. SystemのArchitectureは、ARM64(aarch64)を選択し、Memoryは512MBでは少なめので、2048MB以上に設定しよう。 f:id:tomumu:20210914034717p:plain
  5. DrivesのNew Driveで、20GB(容量はご自由に)のStorageを追加する。 f:id:tomumu:20210914035035p:plain
  6. DrivesのImport Driveで、debian-11.0.0-arm64-netinst.isoを追加する。(Drives以下のようなれば、OKだ。) f:id:tomumu:20210914035224p:plain
  7. VMの設定が完了したら、青枠の起動ボタンをクリックする。 f:id:tomumu:20210914035938p:plain
  8. 起動画面にWelcom to GRUB!の文字が出てくるのでしばらく待つ。 f:id:tomumu:20210914040057p:plain
  9. GRUBの画面が出てきたら、Graphical installを選択する。 f:id:tomumu:20210914040223p:plain
  10. Select a languageで、Japaneseを選択する。
  11. 場所の選択で、日本を選択する。
  12. キーボードの設定で、日本語を選択する。
  13. ネットワークの設定で、適当なホスト名を入力する。
  14. ユーザとパスワードのセットアップでは、rootのパスワードには何も入力しない。*3
  15. ユーザとパスワードのセットアップで、新しいユーザの本名アカウントのユーザ名を入力して適当なユーザを作っておく。
  16. ディスクのパーティションニングは全てデフォルトのままで問題ない。
  17. パッケージマネージャの設定で、日本のミラー先(riken、kddilabsなど)を選択する。
  18. ソフトウェアの選択で、Debian デスクトップ環境もチェックを入れる。
  19. インストールが開始する。(インストールが終わるまで待つ。)
  20. インストールが完了すれば、再起動する。

UTM v2.2.4 + Debian11でどうなったか

2回目以降の起動は?

2回目以降も、問題なく起動するようになった!
* shutdownコマンドもOK * UTMの電源オフボタンもOK

今までの不安定さが嘘のように、何度停止しても何度起動しても普通に動くようになっていた!*4

OpenGLGPUアクセラレーションは?

結構、スムーズに動くようになった!
画像では分かりづらいので、以下のアニメーションGIFを見て頂きたい。

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ブリッジネットワークは?

設定の仕方にコツはあるが動作確認できた。

  1. VM停止時に、VMのアイコンを右クリックしEditからNetworkに入る。 f:id:tomumu:20210914104155p:plain
  2. Networkを設定で、Network ModeをBridged(Advanced)、Bridge Interfaceをen1、Emulated Network Cardをvirtio-net-pciに設定する。 f:id:tomumu:20210914104338p:plain

Bridge Interfaceをen1にするのがコツのようだ。*5

これでM1 Macの接続されたネットワークと同じネットワークに接続可能になるので、DHCPでも固定IPでもOKだ。
ポートフォワード等しなくても、M1 Macから直接SSHでログイン可能になるので、有難い。

まとめ

UTM v2.2.4で、LinuxVMを利用する際の懸念点(2回目以降の起動ができない)が払拭されて、新機能で使い勝手は大幅に向上した。
M1 Mac上でLinuxを動かしたい人はParallels Desktopを買わなくてもUTM v2.2.4で問題なし! と言えそうだ。

おまけ(UTM v2.2.4でWindows11を試してみる)

UTM v2.2.4で、*Windows11 on ARM**の動作も同様に改善しているのではないかと思い、確認してみた。

結果はダメだった・・・。*6
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なお、Windows 11 on ARM Insider Previewは以下からダウンロードできる。

www.microsoft.com

UTMのインストール手順は以下のWindows10を参考頂きたい。

mac.getutm.app

Windows11 on ARMは不安定なままだったので、M1 MacでWindows11 on ARMを利用したい場合は引き続き、Parallels Desktopを利用するしかなさそうだ。

*1:実はDebian11がリリースされた時も、再チャレンジしたのだが状況は変わらず・・・だった。

*2:そのあたりも確認したかったので、今回はGraphical Installでデスクトップ環境もインストールしてみた。

*3:rootユーザのパスワードは不要派のため

*4:当たり前のことだが、ちょっと感動した!w

*5:恐らくは、en0のMACアドレスがShared Networkに紐づいているからではないかと思われる。

*6:2-3回くらい再起動すると、修復永久ループの状態に陥る。。