とむむの日々

埼玉県某市に住む「とむむ」の日記です。2008年3月から、関心のあることを書き連ねる日常の記録です。

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ChromebookのDebian 10(buster)をDebian 11(bullseye)へアップグレードしてみた! | Chromebook活用術 その2

f:id:tomumu:20210903015222j:plain photo by Jinho Jung

どうも、とむむです。

最近、ChromebookLinuxコンテナに関わるエントリーをいくつか書いている。

tomm.hatenablog.com

tomm.hatenablog.com

改めて思ったのは、Debian 10の標準パッケージのバージョンの古さだ。
自分で最新のパッケージを入手してインストールすることもできるが、セキュリティ対策やバグ修正のアップデートの追随も含めて長い目で見ると、微妙なのである。
そこで、ChromeOSのサポート対象外になるが、LinuxコンテナのDebian 10をDebian 11へアップグレードすることにした。

事前準備しよう

では事前準備をしよう。

現状の確認

アップグレード前に現状がどうなっているのか確認してみた。

Kernelバージョンなどを確認

$ uname -a
Linux penguin 5.4.119-14945-gafc97d54f809 #1 SMP PREEMPT Thu Aug 19 19:24:09 PDT 2021 x86_64 GNU/Linux
$ cat /etc/issue
Debian GNU/Linux 10 \n \l

Linuxコンテナとして動作しているので、ChromeOSも5.4系のkernelなのかなと思い、croshを確認すると・・・意外なことが分かった。

crosh> uname -a
Linux localhost 4.19.190-11780-g9abe9eac8155 #1 SMP PREEMPT Fri Aug 20 16:20:49 PDT 2021 x86_64 Intel(R) Core(TM) i5-10210U CPU @ 1.60GHz GenuineIntel GNU/Linux

crosh側のkernelは4.19系だ。
ChromeOSは一体、どちらのKernelで動いているのだろうか・・・。

リカバリイメージ配布サイトでboad nameを探る

リカバリイメージ配布サイトはこういう時に便利だ。

cros-updates-serving.appspot.com

機種名のx360 13cで検索してみると、boad nameはhatchだと判明した。
f:id:tomumu:20210903000931p:plain

ちなみに、CloudReday以外に自分のアーキテクチャに近しいリカバリイメージを使って、ChromeOS非対応デバイスにChromeOSをインストールする方法もある。

Chromium Projectsでデバイス情報を調べる

ChrominumOSのデバイス情報に、アーキテクチャやKernelバージョンの記載がある。

www.chromium.org

どうやら、hatchはいずれもKernel 4.19系を利用しているらしい。

f:id:tomumu:20210903001713p:plain

kernelバージョンの結論は?

Linuxコンテナはkernel 5.4系を利用、ChromeOSはkernel 4.19系を利用*1していることが分かった。

Linuxコンテナのバックアップ

次はバックアップをしておこう。

最悪、Linux開発環境を削除してから作り直す手もあるが、一応バックアップ機能があるので試してみた。
バックアップは 設定 > 詳細設定 > デベロッパー > バックアップと復元 > バックアップ で実行できる。

f:id:tomumu:20210903085151p:plain

バックアップボタンを押すと保存先を聞かれるので、ダウンロードフォルダなど適当な場所にバックアップを取っておこう。
とむむの環境では約11分でバックアップが完了し、バックアップの容量は8.2GBだった。

アップグレードしよう

バックアップの取得が完了したら、アップグレードの実行だ。

アップグレード手順

ターミナルアプリケーションを開いて以下を実行していく。

アップグレードする

手順は以下の通りだ。

$ sudo su -
# cd /etc/apt/
# cp sources.list sources.list.bak
# sed s/buster/bullseys/gc > sources.list
# apt update

実行すると以下のようなエラーが出るので、debian-securityの行はコメントアウトする。

E: リポジトリ https://deb.debian.org/debian-security bullseye/updates Release には Release ファイルがありません。
N: このようなリポジトリから更新を安全に行うことができないので、デフォルトでは更新が無効になっています。
N: リポジトリの作成とユーザ設定の詳細は、apt-secure(8) man ページを参照してください

コマンドに問題がなくれば、以下を実行する。

# apt update
# apt upgrade -y
<snip>
アップグレード: 941 個、新規インストール: 200 個、削除: 0 個、保留: 48 個。
715 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 584 MB のディスク容量が消費されます
<snip>
# apt full-upgrade -y
<snip>
アップグレード: 48 個、新規インストール: 42 個、削除: 10 個、保留: 0 個。
200 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 356 MB のディスク容量が消費されます
<snip>

  これで完了だ。

アップグレード後はどうなった?

アップグレード後の確認

# uname -a
Linux penguin 5.4.119-14945-gafc97d54f809 #1 SMP PREEMPT Thu Aug 19 19:24:09 PDT 2021 x86_64 GNU/Linux
# cat /etc/issue
Debian GNU/Linux 11 \n \l

見た目はDebian 11になったようだ。

Linuxコンテナの再起動

念の為、Linuxコンテナを再起動するために、ターミナルアプリでrebootコマンドを叩く。

# reboot

しばらくすると、ターミナルアプリケーションが勝手に閉じて上がってくる。

$ uptime
00:55:15 up 0 min,  0 users,  load average: 0.33, 0.71, 0.83

確かに再起動しているようだ。

アプリケーションのバージョン確認

LibreOffice

f:id:tomumu:20210903010327p:plain

Debian 10の6系より最新に近い7.0.4.2になった!

WINE

f:id:tomumu:20210903010349p:plain

Debian 10の4系よりは新しい5.0.3になった。

Mozc

f:id:tomumu:20210903010757p:plain

2.23.2815.102から、2.26.4220.102になった。

まとめ

ChromebookLinuxコンテナをDebian 10からDebian 11へアップグレードしてみたが、今のところ、大きな問題や不具合はなさそうだ。

アップグレード後にファイルアプリケーションからLinuxのフォルダ等が見えなくなったが、Chromebookを再起動すれば、ファイルから普通に見えるようになった。

Debian 10の標準パッケージのバージョンが古いから不便だなぁ。と感じている人には朗報だと思うので、試してもらえると幸いだ。

*1:今年の3月以降に発売したChromebookは5.4系を使っているようなので、機種にもよるのかも知れない。