photo by Jinho Jung
どうも、とむむです。
最近、ChromebookでLinuxコンテナに関わるエントリーをいくつか書いている。
改めて思ったのは、Debian 10の標準パッケージのバージョンの古さだ。
自分で最新のパッケージを入手してインストールすることもできるが、セキュリティ対策やバグ修正のアップデートの追随も含めて長い目で見ると、微妙なのである。
そこで、ChromeOSのサポート対象外になるが、LinuxコンテナのDebian 10をDebian 11へアップグレードすることにした。
事前準備しよう
では事前準備をしよう。
現状の確認
アップグレード前に現状がどうなっているのか確認してみた。
Kernelバージョンなどを確認
$ uname -a Linux penguin 5.4.119-14945-gafc97d54f809 #1 SMP PREEMPT Thu Aug 19 19:24:09 PDT 2021 x86_64 GNU/Linux $ cat /etc/issue Debian GNU/Linux 10 \n \l
Linuxコンテナとして動作しているので、ChromeOSも5.4系のkernelなのかなと思い、croshを確認すると・・・意外なことが分かった。
crosh> uname -a Linux localhost 4.19.190-11780-g9abe9eac8155 #1 SMP PREEMPT Fri Aug 20 16:20:49 PDT 2021 x86_64 Intel(R) Core(TM) i5-10210U CPU @ 1.60GHz GenuineIntel GNU/Linux
crosh側のkernelは4.19系だ。
ChromeOSは一体、どちらのKernelで動いているのだろうか・・・。
リカバリイメージ配布サイトでboad nameを探る
リカバリイメージ配布サイトはこういう時に便利だ。
cros-updates-serving.appspot.com
機種名のx360 13cで検索してみると、boad nameはhatchだと判明した。
ちなみに、CloudReday以外に自分のアーキテクチャに近しいリカバリイメージを使って、ChromeOS非対応デバイスにChromeOSをインストールする方法もある。
Chromium Projectsでデバイス情報を調べる
ChrominumOSのデバイス情報に、アーキテクチャやKernelバージョンの記載がある。
どうやら、hatchはいずれもKernel 4.19系を利用しているらしい。
kernelバージョンの結論は?
Linuxコンテナはkernel 5.4系を利用、ChromeOSはkernel 4.19系を利用*1していることが分かった。
Linuxコンテナのバックアップ
次はバックアップをしておこう。
最悪、Linux開発環境を削除してから作り直す手もあるが、一応バックアップ機能があるので試してみた。
バックアップは 設定 > 詳細設定 > デベロッパー > バックアップと復元 > バックアップ で実行できる。
バックアップボタンを押すと保存先を聞かれるので、ダウンロードフォルダなど適当な場所にバックアップを取っておこう。
とむむの環境では約11分でバックアップが完了し、バックアップの容量は8.2GBだった。
アップグレードしよう
バックアップの取得が完了したら、アップグレードの実行だ。
アップグレード手順
ターミナルアプリケーションを開いて以下を実行していく。
アップグレードする
手順は以下の通りだ。
$ sudo su - # cd /etc/apt/ # cp sources.list sources.list.bak # sed s/buster/bullseys/gc > sources.list # apt update
実行すると以下のようなエラーが出るので、debian-securityの行はコメントアウトする。
E: リポジトリ https://deb.debian.org/debian-security bullseye/updates Release には Release ファイルがありません。 N: このようなリポジトリから更新を安全に行うことができないので、デフォルトでは更新が無効になっています。 N: リポジトリの作成とユーザ設定の詳細は、apt-secure(8) man ページを参照してください
コマンドに問題がなくれば、以下を実行する。
# apt update # apt upgrade -y <snip> アップグレード: 941 個、新規インストール: 200 個、削除: 0 個、保留: 48 個。 715 MB のアーカイブを取得する必要があります。 この操作後に追加で 584 MB のディスク容量が消費されます <snip> # apt full-upgrade -y <snip> アップグレード: 48 個、新規インストール: 42 個、削除: 10 個、保留: 0 個。 200 MB のアーカイブを取得する必要があります。 この操作後に追加で 356 MB のディスク容量が消費されます <snip>
これで完了だ。
アップグレード後はどうなった?
アップグレード後の確認
# uname -a Linux penguin 5.4.119-14945-gafc97d54f809 #1 SMP PREEMPT Thu Aug 19 19:24:09 PDT 2021 x86_64 GNU/Linux # cat /etc/issue Debian GNU/Linux 11 \n \l
見た目はDebian 11になったようだ。
Linuxコンテナの再起動
念の為、Linuxコンテナを再起動するために、ターミナルアプリでrebootコマンドを叩く。
# reboot
しばらくすると、ターミナルアプリケーションが勝手に閉じて上がってくる。
$ uptime 00:55:15 up 0 min, 0 users, load average: 0.33, 0.71, 0.83
確かに再起動しているようだ。
アプリケーションのバージョン確認
LibreOffice
Debian 10の6系より最新に近い7.0.4.2になった!
WINE
Debian 10の4系よりは新しい5.0.3になった。
Mozc
2.23.2815.102から、2.26.4220.102になった。
まとめ
ChromebookのLinuxコンテナをDebian 10からDebian 11へアップグレードしてみたが、今のところ、大きな問題や不具合はなさそうだ。
アップグレード後にファイルアプリケーションからLinuxのフォルダ等が見えなくなったが、Chromebookを再起動すれば、ファイルから普通に見えるようになった。
Debian 10の標準パッケージのバージョンが古いから不便だなぁ。と感じている人には朗報だと思うので、試してもらえると幸いだ。
*1:今年の3月以降に発売したChromebookは5.4系を使っているようなので、機種にもよるのかも知れない。